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「来週殺(や)るぞ……。問題はやった後だ。無事に逃げなきゃいけねえ。2人でスケ(助け)ぇしてくれ。タニは、寺の駐車場で、車のエンジンかけたまんま、中で待っててくれ。ドアぁ、ちょっと開けたまんまでな。殺った後で、俺が中に駆け込む。スギはなぁ。タニんとっから500bの、この石屋の裏だ。ここで、あの地味なカローラで待っててくれ。俺が、タニの車でここまで行って、スギの車に乗り換えるから。これで追っ手をまけるだろうよ。大事なのは慌てねえことだ。荒い運転で、クルマぁ、キーキー音立てたりしたらだめだぜ。目立っちまって、目撃者を増やすからサ」
青木が毎週通う座禅堂がある寺の、周辺のゼンリン地図を指で突きながら、谷と杉坂に段取りを詳しく説明した後、その足で、
組長代理の家に行った。
代理は寝ていたが、姉さんに起こしてもらった。
そして、決行の日時を打ち明けた。
午前1時に近かった。黙ってうなずいた縞のパジャマ姿の代理の目が、1回だけ、壁の灯りを反射して、キラッと光った。
「分かったそうだよ」
翌朝6時過ぎに、代理が俺の携帯に電話してきた。
組長に,
代理が、俺が話した実行計画を伝えた。
組長が、
それを聴いた、吉報を待っている、
という意味だ。
これなら、誰が盗聴してても、何のことか分からない。
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腹に、ずしりと重しが入った。
18aの銃身をもつモーゼルの、黒い自動拳銃は、きっかり1`グラムある。
腹に巻いたさらし木綿の、へその上に差し込んだ。
墨染めの、前合わせの座禅着がたっぷりしているから、
姿見で見たら腹が少し出て見えるだけで、気づかれる心配はなかったが、参禅者たちの視線はやはり気になった。
座禅堂に軽く合掌して入り、心持ち顔を左に向けて、青木がいつも座るあたりを、目の隅で探った。
薄闇の下に、方型になった肉塊があった。
まるで、黒い布を被せた臼だった。
左脇にボディガードが静かに座っていた。
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2人の真後ろを、通路が縦に走っている。
距離感を計るために、入口で左折して、その通路を静かに歩き始めた。歩数を数える。
左折後、12歩目が青木の背中の位置にあたった。
で、立ち止まって殺るのは、13歩目に決めた。
俺は、前を向いたままさらに10歩歩き、畳に上がり、面壁して結跏趺坐(けっかふざ)した。
座禅は3回ある。
決行は、2回目の座禅の始まる直前と決めた。
歩き始めて13歩目で左を向く。
腹から引き抜いた自動拳銃の銃口を、
青木の右後ろから、
その背中にすえ、
右人差し指でトリガーを引く。
弾丸は1秒間に5発の速度で連射される。
マガジンの20発の弾丸は、4秒で撃ち尽くされる。
4秒の間に、銃口を左に少し動かせば、
危険なボディガードも同時に食える。
(10へ続く)
